「クロノ・トリガー」から4年半、その続編としてようやくプレイステーション版という形で世に出た「クロノ・クロス」の、全67曲に及ぶ大作CD。「クロス」の原形であるサテラビュー対応ゲーム「ラジカル・ドリーマーズ」の知られざる名曲の数々が更に色鮮やかに、パワーも一段とアップして再登場している他、前作「トリガー」の曲群からも、印象的なフレーズを巧みにアレンジして新たな楽曲の一部にしているなど、「トリガー」「ラジカル」「クロス」と続く一連の作品の関連性を知っている人達には、涙モノの楽曲群である。力みの無い、実にさらっと仕上がったアレンジの中には、リスナーの胸にグッと来る要素が沢山詰まっており、その鮮やかな技に、光田のオトナの余裕が感じられる。力いっぱい自己主張を繰り広げたスクウェアでの前作「ゼノギアス」では、時に画面と喧嘩してしまうくらいの我の強さだったが、今回は、実に画面・イベントをよく自分の中で消化し、それに上手く溶け込み、雰囲気を最大限に引き立てる曲作りをしている(でも、決して音が引いてはいない)というところに、彼の成長ぶりがうかがえよう。アコースティック・ギターをメインにした「地中海サウンド」(本人談)を主軸に、多国籍な色合いを持つ今回の楽曲群には、「ゼノギアス」での強烈なアイリッシュサウンドの面影はなく(そういう曲もあるが)、一見とても穏やかだが、その実、このコンピューターゲームの世界において生の肌合いを追及しようという、非常に攻撃的な試みを、今回の彼は実践しているのである。1曲の中における音数も、前回よりずっと少なく、それ故の難しさ、存在感の問題を、彼ならではの個性で見事にクリアーした。常に巷のゲームサウンドとは別の方向へ向かいつつ、己が道の中で確実に進化していく光田サウンドの、その成長を見る一作である。
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